新NISAの活用方法
新NISAは制度変更でどうなった?
年間投資上限額が大幅に引き上げ
旧NISA制度では、つみたてNISAと一般NISAの投資上限額はそれぞれ年間40万円と年間120万円でした。しかし、新NISAではこれらの上限額が大幅に引き上げられました。
具体的には、新NISAでは以下のような投資上限額が設定されています。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)
年間投資上限額が従来の40万円から120万円に引き上げられ、つみたて投資枠では、毎年最大120万円までの積立投資が非課税で行えます。
成長投資枠(旧一般NISA)
年間投資上限額が従来の120万円から240万円に引き上げられ、成長投資枠では、年間最大240万円までの自由な投資が非課税で行えるようになりました。
このように、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の両方で投資上限額が増額され、投資家はより多くの資金を非課税で運用することができるようになりました。この制度変更により、資産形成や資産運用に取り組む投資家にとって、大きなメリットが生まれることになるでしょう。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」両方を同時に利用できる
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になりました。従来のNISA制度では、つみたてNISAと一般NISAは別々の枠であり、同時に利用することができませんでした。
つみたてNISAは定額の積立投資枠で、一般NISAは自由な投資枠でした。しかし、新NISAではこの制限が緩和され、つみたて投資枠と成長投資枠を併用することができるようになりました。
具体的には、つみたて投資枠では年間120万円までの定額投資が可能であり、成長投資枠では年間240万円までの自由な投資が可能です。投資家はこれらの枠を組み合わせて、最大で360万円(つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円)までの投資を行うことができます。
この制度変更により、投資家はより柔軟な投資戦略を展開することができ、自分の投資目標やリスク許容度に応じて資産を運用することが可能になったのです。
無期限の非課税保有期間へ
旧NISA制度では、一般NISAとつみたてNISAの非課税保有期間はそれぞれ異なっており、一般NISAは最大で5年間、つみたてNISAは最大で20年間の非課税期間でした。しかし、新NISAではこれらの保有期間が無期限されました。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)
従来のつみたてNISAの保有期間は最大20年間でしたが、新NISAでは保有期間に制限がなくなり、無期限の非課税期間となりました。
つみたて投資枠に投資した資産は、将来にわたって非課税で運用することが可能です。つまり、保有期間が長くなっても非課税のメリットが継続します。
成長投資枠(旧一般NISA)
旧一般NISAは最大で5年間の非課税保有期間でしたが、新NISAではこれも無期限の非課税期間となりました。
成長投資枠に投資した資産も、将来にわたって非課税で運用できます。資産の保有期間に関係なく、非課税の特典が適用されます。
このように、新NISAでは投資家が保有するつみたて投資枠や成長投資枠の資産は、無期限の間非課税で運用できるため、長期的な資産形成や資産運用が促進されます。また、保有期間に制約がないため、投資家は長期間にわたって資産を育てることが可能です。
生涯非課税限度額も引き上げられました
つみたて投資枠では年間120万円までの投資が可能であり、最大で1,800万円まで非課税投資が行えます。
一方、成長投資枠では年間240万円までの投資が可能であり、最大で1,200万円まで非課税投資が行えます。
生涯非課税限度額は「簿価残高方式」で管理され、投資信託や株式などの取得価額に基づいています。商品の売却により、売却した商品の簿価分の枠を再利用することができることもポイント。
つみたて投資枠と成長投資枠を合算することで、1人あたり生涯最大で1,800万円まで非課税での投資が可能です。
新NISAは、個人の投資活動を促進するために生涯非課税限度額を大幅に拡大し、投資枠を分割して導入しています。投資家はこれらの枠を有効活用することで最大限の利益を得ることができます。
新NISAを開設しても旧NISAへの影響はない
新NISA制度が開始された後も、旧NISAで保有している商品はそのまま非課税期間を保持したまま保有することが可能です。具体的には、一般NISAで購入した商品は購入時から5年間、つみたてNISAで購入した商品は購入時から20年間非課税で保有可能です。このため、旧NISAで保有している商品は新しい新NISAの生涯非課税限度額である1,800万円には含まれず、別カウントとして扱われます。つまり、2024年から始まる1,800万円の非課税限度額は旧NISAで保有している商品には影響を与えません。
新NISAの始め方
2024年以降にNISAを始める方は、以下の手順で新NISA口座を開設することができます。
口座開設手続き
初めてNISAを利用する方は、金融機関で新NISA口座を開設する必要があります。同時に、新NISAを申込む金融機関の証券総合口座ご準備ください。
証券総合口座を持っていない場合は、2つの口座を同時に申し込みましょう。既に証券総合口座を持っている場合は、新NISA口座だけを申し込みます。
申し込み方法
多くの金融機関では、インターネットまたは郵送で申し込み手続きが可能です。指示に従い必要事項を入力し、必要書類を提出して申し込みを完了させます。
口座開設の承認
申し込み後は、税務署の審査がありますが、金融機関が申請するため自分でおこなう必要はありません。審査が通れば口座開設が完了します。
取引開始
口座開設完了後、証券総合口座に入金し、商品を選んで購入または積み立てを申し込みましょう。
2023年以前にNISAを運用していた方は、以下のようなケースに応じて手続きが異なります。
同一金融機関で継続する場合
金融機関を変えずにNISAを続ける場合は、新NISAを始めるための手続きは不要です。既存のNISA口座が自動的に新NISA口座に変わります。
金融機関を変更する場合
金融機関を変更して新NISAを始める場合は、金融機関変更の手続きが必要です。変更前の金融機関に対して勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書を発行し、新たな金融機関で口座開設の手続きを進めます。
新NISAは、将来の資産づくりのために早めに始めることが重要です。長期投資を通じて安定したリターンを見込めるため、ライフプラン上の資産形成に活用しましょう。
新NISAのメリットとデメリット
メリット
新NISAを活用する際の主な利点は、まず生涯投資枠の上限1800万円までの投資で得られる運用益や配当金、分配金が一生涯にわたって非課税になることです。この仕組みにより、投資による収益が蓄積されても税金の負担がないため、資産形成が効率的に行えます。
また、つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託・ETFが選定されており、選択肢が絞られています。初心者にとって選びやすく、長期・積立・分散投資に適した低コストの商品が揃ってルノもポイントです。
さらに、積立投資が可能であり、定期的な金額を自動で投資することができるため、投資タイミングの判断が不要で続けやすく、長期的な資産形成に適しています。
成長投資枠では、個別株やREITなど自由度の高い投資が可能です。幅広い商品から投資を選択できるため、投資家のニーズに合った資産運用が行えます。
さらに、新NISAでは100円からの少額投資が可能であり、投資の敷居が低くなっているのも初心者にありがたいですね。
また、売却した資産の非課税投資枠が売却翌年に復活する点も魅力です。いつでも売却して資産を引き出すことができ、資金の使途に合わせて自由に資産を運用できるため、資産運用の柔軟性が高いと言えます。
デメリット
新NISAの利点に対して、デメリットも考慮する必要があります。
まず、新NISAは短期的な資金運用には適していません。長期投資が前提であり、元本割れのリスクがあるため、日常の出費や5〜10年以内のライフイベントのための資金には他の運用手段が適しています。
新NISAでは損益通算や繰越控除が対象外という点もデメリットです。他の口座で生じた利益と損失の合算や、損失の繰越控除ができないため、税金の負担軽減のメリットがありません。
また、新NISAでは商品の入れ替え(スイッチング)ができません。資産配分の変更が必要な場合は、一度商品を売却して再投資する必要があります。
最後に、新NISAは日本に居住する人が対象であり、海外に引っ越すと口座の継続が困難な場合があります。海外転勤等の場合は、一定期間の救済措置があるものの、海外移住を考えている方は注意が必要です。
新NISAで成功させるコツ
成功のコツとして、新NISAやつみたて投資枠を活用する際に重要なポイントがあります。
まず、長期にわたって継続することが成功の鍵です。
つみたて投資枠を長期間続けることで、運用成果が安定し、元本割れのリスクが低くなります。金融庁のデータによれば、保有期間が長くなればなるほど、運用成果は安定し、元本割れする可能性が低くなる傾向があるそうですので、短期で動かすことは控えましょう。
また、つみたて投資枠を始める際には投資のタイミングについて過度に心配する必要はありません。積立投資では市場の値動きに左右されず、定期的に一定額を投資することでリスクを分散しやすくなります。
このように、長期的な視点でつみたて投資枠を継続することが成功のコツです。元本の安定と運用成果の最大化を目指して、定期的かつ長期間の投資を続けることが大切です。
投資と上手く付き合うためには生活に負担をかけない程度の金額でコツコツと投資を続けることです。大きなリスクを取ったり、生活を圧迫するような投資は避けましょう。
定期的に少額を積み立てることでリスクを分散し、着実に資産を増やすことができます。投資は長期的な視点で行うものなので、焦らずに継続することが重要です。積み立て投資は市場の短期的な変動に左右されず、時間とともに資産を増やすことができるでしょう。だからこそ、自分の生活に合わせた金額でコツコツと積み立てることが、将来の資産形成やライフプランに役立ちます。